この記事の監修者
夫/妻はたぶん浮気をしている…。
ほぼ確信に近い疑惑を抱いているけど、これで慰謝料を請求できるのかは分からないですよね。
どこからが浮気なのか、その定義は人によって異なり、法律上、不倫や浮気と認められるラインは、あなたの考える不倫や浮気とは異なるかもしれません。
ここでは、法律上、不倫と認められる判断基準と、慰謝料請求が認められるケース、認められないケースをご紹介します。
浮気の判断基準となる「不貞行為」
夫婦には貞操義務があると解されていて、これに違反すると不貞行為にあたります。
不貞行為は、民法の770条の離婚事由にも明記されており、不貞行為があった場合、裁判で離婚を請求することもできます。そして不貞行為は、民法709条の「不法行為」にあたるため、不貞行為があった場合は損害賠償を請求することができるのです。
そして、何をしたら不貞行為にあたるのかですが、裁判の判例を見てみると「配偶者以外の異性と自由な意思で肉体関係を持つこと」とされています。
つまり、法律上の浮気は「配偶者以外の異性と性的な関係にあったこと」が判断基準となり、これがあることが慰謝料を請求できる要件になります。
夫婦の貞操義務とは?
条文にはっきりと書かれていませんが、先ほどの不貞行為が離婚事由にあたること、民法732条では重婚を禁止していることなどから、夫婦には貞操義務があると解されています。
余談ですが、重婚は罪が重く、刑法184条でも禁止されています。刑法で禁止されていますので違反者には罰則があり、重婚の場合、懲役2年が科されます。
不倫の慰謝料を請求できない4つのケース
「配偶者以外の異性と性的な関係にあったかどうかが慰謝料を請求できる判断基準になると紹介しました。
では、2人きりで食事をした、配偶者以外の異性とキスをしていたなどは不貞行為とならないのでしょうか。
結論から言うと、不貞行為にはなりません。
不倫の慰謝料を請求できない代表的なケースをいくつかご紹介します。
肉体関係がない
前述の通り、食事をした、デートをした、手をつないで歩いていたなど、肉体関係がない交流の場合は不貞行為と認められませんので、慰謝料の請求ができません。
しかし、体の関係がなくても、婚姻関係を破綻させるに至らせるような異性との交流が不貞行為に当たると認められた判例もあります。例外的な事例ではありますが、肉体関係がなくても夫婦関係を破綻させたと認められれば、慰謝料を請求することができます。肉体関係があったことを証明できるものがなくて困っている場合、諦めてしまう前に弁護士へご相談されることをおすすめします。
既婚者であることを知らずに関係をもってしまった
不倫相手に慰謝料を請求する際に起こりえるケースで、マッチングアプリなどで知り合い、お互いの素性が分からないまま関係を持ってしまったなど、相手があなたの配偶者が既婚者であることを知らなかった場合、不倫相手に慰謝料を請求することができません。
自由意思ではない
強制性交や脅迫など、お互いの自由意思ではない場合、慰謝料を請求することはできません。ただし、強制性交は、刑法で定められた罪ですので、強制した側は刑事罰に問われる可能性があります。
すでに夫婦関係が破綻していた
夫婦仲が悪く、不倫は始まった時点で既に別居をしていた場合などは、不倫が夫婦関係を破綻させたとは言えませんので、不倫相手と肉体関係があったとしても、請求することはできません。
浮気相手が同性の場合どうなる?
まだケースとしてあまり多くはありませんが、同性と性的関係を持つことは「婚姻を継続しがたい重大な事由」に当たる可能性があります。
また、2021年3月には同性カップルも異性の事実婚と同じように民法上の保護に値するとして、最高裁で賠償金の支払いを命じた裁判決が下されました。法律上の不貞行為は「配偶者以外の異性と」とありますが、この判決によって、今後同性カップルにも事実婚である状態が認められれば、不倫の慰謝料を請求することができます。
不貞行為の証拠がなくても慰謝料を請求できる
裁判で不貞行為を理由に慰謝料を請求するには、相手が不貞行為をしているという証拠が必要です。しかし、肉体関係があったことを証明するのは簡単なことではありません。決定的な証拠が得られなかったら慰謝料は払ってもらえないのかと不安に思う方もいるかもしれませんが、実は、そんなことはありません。
たとえば、メッセージアプリの会話の履歴や、通話履歴、クレジットカードの明細に記載されているプレゼントらしきものの代金など、それだけでは決定打にならないものや、裁判上では十分な証拠として認められない物でも、積み重ねて提示することで、相手が不倫を認める可能性は高くなります。話し合いの段階で相手が不倫を認め、慰謝料の支払いに応じさせることができれば、決定的な証拠がなくても良いのです。
交渉は専門家である弁護士に間に入ってもらいましょう
話し合いでし洗いに応じれば、決定的な証拠がなくても良いとお伝えしましたが、本人同士が話し合うと、お互い感情的になってしまいうまく進まないことも多くあります。それだけでなく、相手が証拠として不十分だと言って慰謝料の支払いを認めないこともあります。
そうなってしまうといつまでも決着がつかず、解決まで余計に時間もかかってしまうでしょう。相手と交渉をする前に弁護士相談し、今ある証拠でどのような主張ができるか、他にどんあ証拠を集めると良いかアドバイスをもらうようにしましょう。また弁護士は、法律の専門家であると同時に交渉のプロでもあります。話し合いの際は弁護士を間にいれることで、感情論で話が平行線になってしまうことを防ぎ、よりスムーズに和解ができるよう進めることが可能です。ぜひ、1人で抱え込まずに相談をしてください。