「国が認めた借金減額法で数百万円あった借金が返し終わった」
SNSなどを中心に、このようなうたい文句の広告をよく見かけます。
国が認めたものならば、それは効果絶大に違いない・・・
そう思いたいですが、果たしてそんな制度が本当にあるのか疑問に感じる人もいるでしょう。
結論からお伝えしてしまうと、国が認めた借金救済制度とは、いわゆる「債務整理」のことで、特に「任意整理」を指すのが一般的です。
法的手続きであることから、「国が認めた借金救済制度」という広告表現が使われるようになったのです。
今この記事を読んでいる方は、おそらく借金の返済が困難になってきて、何か対策をしなければと思い情報を集めている最中なのではないかと思います。
この記事では、国が認めた借金救済制度について、次のこと紹介しています。
- 国が認めた借金救済制度とは何か
- 国が認めたというのは誇大広告ではないのか
- 具体的な債務整理の方法と費用の目安
- 信頼できる専門家を見分けるポイント
この記事を通して、手続きを検討する際の参考にしてみてください。
「国が認めた借金救済制度」という表現について、日本弁護士連合会(日弁連)が業務広告に関する指針を発表し、「国が認めた借金救済制度」という文言の使用はNGと明記された改正規定が施行されました。これによって、「国が認めた借金救済制度」は誇大表現にあたることが明確になりました。詳しくは、後述する「「国が認めた借金救済制度」という表現はは誇大広告ではないのか?」の章をご覧ください。
この記事の監修者
国が認めた借金救済制度とは「債務整理」のこと
結論からお伝えすると、国が認めた借金救済制度というのは、法律事務所が行っている「債務整理」のことを言います。
特に、裁判所を通さず、当事者同士の話し合いで現在の契約の見直しを行う「任意整理」を指すことが一般的です。
つまり、国が特別に何らかの救済措置を行っているわけではありません。
それならなぜ「国が認めた」と言われているのかというと、債務整理はどの手続きも法律にのっとって行われます。
任意整理は民法、個人再生は民事再生法、破産は破産法と、それぞれ手続きを行う際に遵守するべき法律があるので「国の法律にのっとっている=合法=国が認めた」という表現になっているのです。
「国が認めた借金救済制度」という表現はは誇大広告ではないのか?
では、「国が認めた借金救済制度」という表現は、誇大広告にはならないのでしょうか?
個人再生や自己破産は裁判所を通じて行う手続きですので国の制度です。任意整理も法律にのっとって行われますので、国内で認められている方法であることは間違いないでしょう。
しかし、「国が認めた救済制度」と聞くと、国が推奨していて、申し込めば誰でも救済されるかのようにも聞こえますよね。
実は、この表現をめぐってはトラブルも起きており、ネット広告で救済制度を使って借金が減額されて完済できたという体験談を見て実際に手続きを依頼したが、実際はほとんど借金は減らなかったというケースなどがあるようです。
また、後述する借金減額診断や借金減額シミュレーターで診断したら借金が減ると出たが、実際は手続きをしてもらっても全然減らなかったというケースなども存在するようです。
こういったトラブルが起きていることからも、国が認めた借金救済制度という表現は、ユーザーの誤解を招かないよう十分に説明を行う必要があると言えるでしょう。
【2025年2月27日更新】「国が認めた借金救済制度」は誇大表現にあたります
日弁連は、2025年2月に業務広告に関する指針を一部改正し、具体的に違反広告となる表現を明記しました。「国が認めた借金救済制度」という表現については次のように明文化されています。
規定第3条第3号-誇大広告又は過度な期待を抱かせる広告
誇大又は過度な期待を抱かせる広告として規定第3条第3号に違反するものの例は、次に掲げるとおりとする(記載された事項が事実に合致する内容を含むか否かは問>わない)
~中略~
(3)債務整理事件に関し、「国が認めた借金減額制度」、「国が認めた借金救済制度」等、あたかも破産や民事再生以外に。債務者にとって特別に有利な法的債務整理の制度が存在するとの期待を抱かせる表現を含むもの
つまり、日弁連が正式に「国が認めた借金救済制度」という表現は誇大広告にあたると定義しました。今後このような広告をしている事務所等は規定違反となりますので、注意しましょう。
また、後述する借金減額シミュレーターも、診断結果の表示方法によって誇大広告などにあたることが明記されました。
こちらも詳しくは次の「国が認めた借金救済制度をうたうネット広告をクリックするとどうなる」を参照してください。
国が認めた借金救済制度をうたうネット広告をクリックするとどうなる
国が認めた借金救済制度は「債務整理」であり、今後このような表現は誇大広告にあたることをご紹介しました。では、実際に借金救済制度の広告をクリックするとどうなるのでしょうか?
多くの法律事務所や司法書士事務所の広告は、「借金減額シミュレーター」や「借金減額診断」というサイトか、事務所のLINEの友達追加画面が表示されます。LINEの場合は、友達追加後に減額シミュレーターや減額診断と同様の診断が開始されます。
これらは、3~5つ程度の質問に回答すると、自分の借金が減る可能性があるのか診断してもらえるというものです。
質問の内容はおおむね次の通りです。
- 借金の総額
- 借り入れしている社数
- これまで何年くらい返済をしてきたか
- 現在の返済状況
これらの質問に回答すると、借金が減額される可能性があるのか、借金が免除される可能性があるのかといった結果がその場で表示されます。さらに詳しくいくら減額されるのか、どういった手続きをするのかなどを知りたい人は続けて表示されるフォームに電話番号やメールアドレスなどを入力して送信することで、事務所から連絡が来る仕組みになっています。
この借金減額診断やシミュレーターは、それ自体を広告している場合もあります。借金救済制度の診断と借金減額診断や減額シミュレーターは同じ内容です。
質問に対して表示される選択肢を選んでいくだけなので手軽に診断ができますが、診断結果はあくまで目安となるので、実際に手続きを行う場合は専門家によく見立ててもらってから進めるようにしましょう。
またこの借金減額シミュレーターや、借金減額診断についても、2025年2月20日の業務広告の指針の改定により、次のような者は規定違反となることが明記されました。
規定第3条第3号-誇大広告又は過度な期待を抱かせる広告
~中略~
インターネットのウェブサイト等における広告(以下「ウェブ広告」という。)に「借金減額診断」、「借金減額シミュレーター」等と称する頁を設け、広告閲覧者に借入金額、借入時期、返済の有無等を入力させながら、どのように入力しても「あなたの借金は、0円又は減額になる可能性があります。」等と表示されるようにして依頼を勧誘する表現を含むもの
さらに、借金減額シミュレーターや借金減額診断には、禁止行為として次のように明記されました
規程第5条及び第6条の規定による直接的な勧誘行為の禁止
例えばウェブ広告に「借金減額診断」、「借金減額シミュレーター」、「交通事故慰謝料算定システム」「婚姻費用・養育費シミュレーター」等と称する、閲覧者が比較的容易に情報を入力することにより結果を得ることができるページを設けて、当該閲覧者をして当該ページに個人情報を入力させた場合であっても、当該個人情報の入力をもって事件の依頼又は法律相談の申込みとなる旨が当該ページの記載から明確である等当該閲覧者が依頼者であると解すべき特段の事情がない限り、当該閲覧者は以前として規定第5条及び規程第6条の面識のないものに該当し、かつ当該閲覧者から規定第5条第2項の承諾を得たことにもならない。
少し分かりづらい文章なのですが、今回の改正で個人情報を入力するページに明確に「事務所へ相談をする」という内容が盛り込まれていなければ、個人情報を入力して送信されても事務所側は診断をした人に対して電話やメールで契約を勧誘することは禁止である、ということです。
減額診断や減額シミュレーターで診断をすると、最後に「以下を入力すると詳しい内容を当事務所からお伝えします」と、個人情報の入力を求められるページが表示されることが一般的です。そして、情報を入力して最後に「診断する」ボタンをクリックすると、事務所から連絡がくるという仕組みです。事務所から連絡が来ると、どの業者から借り入れをしているか?といった追加の情報の聴取だったり、契約のクロージングだったりすることが多いのですが、個人情報を送信して事務所へ相談する、ということが明確になっていないページから送信された個人情報には、それらの行為はできません。
国が認めた借金救済制度を使うとどうなるのか
国が認めた借金救済制度を利用することで、実際自分の身に何が起こるのか不安に感じる人も多いでしょう。
国が認めた借金救済制度にはメリットもデメリットも存在します。
主な特徴は次の3つです。
- 業者からの督促が止まる
- 返済総額が減る可能性がある
- ブラックリストに載る
基本的にはプラスの影響が大きいのですが、もともとの契約を変えてしまうのですから、当然デメリットも存在します。
上記以外にも手続きによって特有のメリットやデメリットがありますが、どの救済制度にも共通して起こるのがこの3つです。
業者からの督促が止まる
債務整理を始めると、債務額が変動しないように手続きが終わるまでの間は業者への返済が一時的にストップします。もちろん、業者からの督促も来ませんので、この間に生活を立て直したり、返済の原資を貯めていくことができます。
弁護士や司法書士などの専門家へ手続きを依頼した場合は、この間に専門家への費用や、返済再開後の原資の積み立てを行います。
返済総額が減る可能性がある
債務整理をすることで、以降の利息がカットしてもらえたり、元金を圧縮してもらえたりして、返済総額が減る可能性があります。
国が認めた借金減額法で一般的に指す「任意整理」では、以降の利息を0円にし、さらに毎月の返済額を少なくしてもらうことで、無理なく返済が続けられるように契約内容を見直してもらうことを目指します。
毎月の返済額が減っても、元金のみの支払いにしてもらうため、利息分しか払えずいつまでも借金が減らないという状態から抜け出し、確実に完済に向かっていくことができます。
ブラックリストに載る
債務整理をすることで得られるのはメリットばかりではありません。債務整理をすると、信用情報機関に債務整理をしたことが記録されます。いわゆる「ブラックリストに載る」という状態です。
ブラックリストに載ると、その情報が消えるのは完済してから5~7年です。その間、新たな借り入れができなくなります。そうなると、新たにカードローンを契約することができないだけでなく、住宅ローンなどの審査も通らなくなってしまう可能性が高いでしょう。将来的に家や車の購入を検討したいと考えている方は、早めに手続きをしておくことをお勧めします。
国が認めた借金救済制度の具体的な内容と費用
国が認めた借金救済制度は、一般的には「任意整理」を指しますが、大きく借金減額の手続きは次の3つがあります。
- 利息をカットし、毎月の支払いの負担を軽減する「任意整理」
- 借金を5分の1に圧縮できる「個人再生」
- 借金の返済義務を免除してもらう「自己破産」
それぞれ手続きの特徴や、借金の減額幅が異なります。どの手続きを選べばよいかはその人の負債額や返済状況によって異なります。
具体的に手続きの特徴と費用例を見ていきましょう。
利息をカットし、毎月の支払いの負担を軽減する「任意整理」
まずは一般的に「国が認めた借金救済制度」と言われたら「任意整理」のことを言います。
任意整理とは、債権者と債務者が直接話し合いを行い、現在の契約内容を見直す手続きのことです。具体的には、次の2つを行うのが通常です。
- 手続き以降の利息をゼロ円にし、今以上に返済額が増えないようにする。
- 月々の返済額を少なくし、無理なく返済を続けられる金額に設定しなおす。
利息がかからないので、月々の支払額を減らしても、利息分しか支払えずどんどん債務が膨らんでしまうということを避けることができます。これによって、毎月少しずつ確実に完済に向かっていくことができるようになります。
任意整理は誰でも行うことができますが、手続き完了後に支払いが再開されますので、安定した収入があることが必要です。一般的には元金だけを3年~5年で払いきれるかどうかで判断をすることが多いでしょう。
債務額が大きすぎて5年以内に支払える見込みがない場合や収入まったくない場合、月ごとに収入に大きくばらつきがある場合などはこの後紹介する個人再生や自己破産を検討していくことになります。
任意整理の一般的な費用は、基本報酬プラス減額できた金額の10%です。
このほか、郵送費用などの事務手数料、弁護士や司法書士の日当、事務所によっては相談料や着手金がかかる場合があります。
ただ、相談料は無料としている事務所も多く、特に借金問題に力を入れている事務所は、相談の回数の制限なしに何度でも無料で受けてくれるところもあります。
費用の項目名 | どんな費用か | 一般的な金額の目安 |
---|---|---|
基本報酬 | 手続きが成功した場合にかかる定額の費用 | 債権者1社につき2万円程度 |
成功報酬 | 手続きが成功した場合にかかる費用。 | 減額できた金額×10% |
相談料 | 手続き依頼前の相談にかかる費用。借金問題の相談は無料としているところも多い。 | 30分5,000円程 |
着手金 | 手続きに着手する際に発生する費用で、手続きの成否にかかわらずかかる費用。 | 債権者1社につき2~5万円程度 |
通信費などの事務手数料 | 依頼者や業者と書類のやり取りをする際の郵送費用などの実費。 | おおむね1,000円程度 |
日当 | 弁護士や司法書士が遠方へ出張相談を行う場合や、裁判に出廷した際の費用 | 1日2万円程度 |
代行返済手数料 | 和解後に再開される支払いを、依頼した事務所に取りまとめて債権者へ振込をしてもらう際の手数料。代行返済とは、複数社から借り入れがある場合など、依頼者は事務所へ1月の返済額全部を事務所へ送金し、事務所から各社に返済を代行してもらう方法 | 債権者1社につき1,000円程度 |
借金を5分の1に圧縮できる「個人再生」
個人再生手続きは、裁判所を通じて借金を5分の1まで減額してもらう手続きです。
減らした借金を、通常は3年かけて分割して返済する計画を立てます。
この計画は、借金を貸している人(債権者)の意見を聞いた上で、裁判所がOKを出します。
裁判所が認めれば、あとは計画通りに返済していくだけです。計画通り返済できれば、残った借金は免除となります。
個人再生は自己破産と異なり、財産を手放さずに手続をすることができます。特に住宅ローンが残っている自宅については、住宅資金特別条項(いわゆる「住宅ローン特則」)を利用できれば、住宅ローンは整理の対象とせず手続きを進めることができますので、自宅を処分されずに済み続けることができるのも大きな特徴のひとつです。
費用の項目名 | どんな費用か | 一般的な金額の目安 |
---|---|---|
報酬金 | 手続きが成功した場合の定額費用。住宅ローン特則の利用の有無によって金額が異なる。 | 住宅ローン特則あり:30万円程度、住宅ローン特則なし:20万円程度 |
相談料 | 手続き依頼前の相談にかかる費用。借金問題の相談は無料としているところも多い。 | 30分5,000円程 |
着手金 | 手続きに着手する際に発生する費用で、手続きの成否にかかわらずかかる費用。 | 30万円程度 |
裁判所費用 | 裁判所へ納める手続き費用。管轄の裁判所によって金額が多少異なる。 | 20万~30万円 |
通信費などの事務手数料 | 依頼者と書類のやり取りをする際の郵送費用などの実費。 | おおむね1,000円程度 |
日当 | 弁護士や司法書士が遠方へ出張相談を行う場合や、裁判に出廷した際の費用 | 1日2万円程度 |
借金の返済義務を免除してもらう「自己破産」
自己破産とは、裁判所へ破産の申し立てを行って支払い不能の状態にあることを認めてもらい、免責の許可をもらうことで、借金を免除してもらう手続きです。
破産をすると、一定以上の価値がある財産は処分の対象となりますので、持ち家がある人は、家を処分されてしまうことになります。
破産ができるかどうかを判断するのに、借金額は関係なく、例えば100万円でも裁判所が支払い不能の状態にあると判断すれば自己破産は可能です。裁判所では自己破産に至った経緯や現在の収支状況を鑑みて総合的に判断がされます。
ただし、破産には「免責不許可事由」と言って、借金の免除が許可されない場合についても法律(破産法第252条)で次のとおり定められています。
(免責許可の決定の要件等)
第二百五十二条裁判所は、破産者について、次の各号に掲げる事由のいずれにも該当しない場合には、免責許可の決定をする。
一債権者を害する目的で、破産財団に属し、又は属すべき財産の隠匿、損壊、債権者に不利益な処分その他の破産財団の価値を不当に減少させる行為をしたこと。
二破産手続の開始を遅延させる目的で、著しく不利益な条件で債務を負担し、又は信用取引により商品を買い入れてこれを著しく不利益な条件で処分したこと。
三特定の債権者に対する債務について、当該債権者に特別の利益を与える目的又は他の債権者を害する目的で、担保の供与又は債務の消滅に関する行為であって、債務者の義務に>属せず、又はその方法若しくは時期が債務者の義務に属しないものをしたこと。
四浪費又は賭と博その他の射幸行為をしたことによって著しく財産を減少させ、又は過大な債務を負担したこと。
五破産手続開始の申立てがあった日の一年前の日から破産手続開始の決定があった日までの間に、破産手続開始の原因となる事実があることを知りながら、当該事実がないと信じ>させるため、詐術を用いて信用取引により財産を取得したこと。
六業務及び財産の状況に関する帳簿、書類その他の物件を隠滅し、偽造し、又は変造したこと。
七虚偽の債権者名簿(第二百四十八条第五項の規定により債権者名簿とみなされる債権者一覧表を含む。次条第一項第六号において同じ。)を提出したこと。
八破産手続において裁判所が行う調査において、説明を拒み、又は虚偽の説明をしたこと。
九不正の手段により、破産管財人、保全管理人、破産管財人代理又は保全管理人代理の職務を妨害したこと。
十次のイからハまでに掲げる事由のいずれかがある場合において、それぞれイからハまでに定める日から七年以内に免責許可の申立てがあったこと。
イ免責許可の決定が確定したこと当該免責許可の決定の確定の日
ロ民事再生法(平成十一年法律第二百二十五号)第二百三十九条第一項に規定する給与所得者等再生における再生計画が遂行されたこと当該再生計画認可の決定の確定の日
ハ民事再生法第二百三十五条第一項(同法第二百四十四条において準用する場合を含む。)に規定する免責の決定が確定したこと当該免責の決定に係る再生計画認可の決定の確定の日
十一第四十条第一項第一号、第四十一条又は第二百五十条第二項に規定する義務その他この法律に定める義務に違反したこと。
また自己破産の費用は、破産手続きの種類によっても費用が異なり、総額で約30万円~120万円ほどかかります。
一般的に、財産の処分が発生する管財事件になると費用が高額になります。
費用の項目名 | どんな費用か | 一般的な金額の目安 |
---|---|---|
報酬金 | 手続きが成功した場合にかかる定額の費用 | 約0~30万円 |
相談料 | 手続き依頼前の相談にかかる費用。借金問題の相談は無料としているところも多い。 | 30分5,000円程 |
着手金 | 手続きに着手する際に発生する費用で、手続きの成否にかかわらずかかる費用。 | 約30万円~60万円 |
通信費などの事務手数料 | 依頼者や業者と書類のやり取りをする際の郵送費用などの実費。 | おおむね1,000円程度 |
日当 | 弁護士や司法書士が遠方へ出張相談を行う場合や、裁判に出廷した際の費用 | 1日2万円程度 |
【裁判所費用】
種類 | 費用の目安 |
---|---|
同時廃止事件 | 約1~3万円 |
管財事件 | 50万円程度 |
少額管財事件 | 20万円程度 |
費用の支払いに不安がある場合は、分割返済に応じてくれる事務所も
債務整理は、お金の問題を解決する手続きです。したがって、依頼者は基本的にお金に困っている状態です。
「債務整理をして収支を立て直したいけど、専門家の費用が払えない…。」
そのように感じている人が大多数です。
手続きを開始し、返済が一時的に止まっている間に立て直しができる人もたくさんいますが、費用の支払いに不安を感じるようであれば、面談時に専門家へ相談をしておくと良いでしょう。費用の分割払いなどにも応じてもらえるはずです。
一般的に債務整理の費用は手続き完了時に清算します。契約をするときに支払いをすることはありません。
信頼できる専門家を見抜くポイント
あなたの今後の人生にも影響を与える可能性があるお金に関する問題ですから、信頼できる専門家に依頼したいですよね。
残念ながら、すべての専門家が信頼して手続きを依頼できるとは限りません。高額な報酬設定をしている事務所や、間違った手続きをしてしまっている事務所などもあると言われています。
では、信頼できる専門家はどうやって探せばよいのでしょうか。ここでは、3つのポイントをご紹介します。
- 誰でも必ず借金減額ができるような謳い文句を使用していないこと
- 契約前に専門家が直接面談を行なっていること
- 契約前に費用の説明をしていること
ひとつずつ詳しくみていきましょう。
誰でも必ず借金減額ができるような謳い文句を使用していないこと
「これで借金が減額される」「成功率〇〇%」というようなうたい文句の広告やホームページを見かけることがありますが、誰でも借金が減額できるような言い方をしているのは誇大広告だと思っておくのが良いでしょう。また、成功率をうたうことは禁止されています。
債務整理は、誰もが必ず同じ結果を得られるとは限りません。そもそも、債務整理そのものができない場合もあります。
「「国が認めた」という表現はは誇大広告ではないのか?」の章でもご紹介したとおり、誇大広告をめぐってはトラブルも起こっているようですので、そのような事務所は避けておくことをおすすめします。
依頼前に専門家が直接面談を行なっていること
債務整理は手続きを開始するにあたって専門家(弁護士や司法書士)と直接面談をすることが規定で義務付けられています。
これは、本人にちゃんと債務整理の手続きをする意思があるのか、他人が成りすまして手続きを依頼していないかを確認するためです。
債務整理はあなたの生活に関わるお金の問題を解決する手続きです。借金が減額される反面、信用情報に載るなどのデメリットもあります。
あなたに代わって他人が勝手に手続きを進めてしまっていたら大変なことになってしまいますので、専門家はトラブルが起こらないように細心の注意を払って手続きをする必要があります。
中には、書類のやり取りだけや電話だけでOKとしている事務所もありますが、それは規定違反です。
2020年のコロナ禍ではオンライン面談も可能とされていましたが、現在は、原則として直接面談に戻っています。
かならず1度は専門家と直接会って面談をしなければなりませんので、そのような対応をしていない事務所は、後のトラブルを避けるためにも避けておく方が良いでしょう。
契約前に費用の説明をしていること
手続きの正式契約前に費用の説明をしてくれない事務所は避けたほうが良いでしょう。特に、弁護士は事前に報酬について説明することが規定で定められています。(日弁連債務整理事件処理の規律を定める規程(H23.2.9)4条)
費用の説明がない場合、相場よりも高い費用設定になっていたり、後から追加で色々な費用がかかったりと依頼後にトラブルになるケースもあります。
特に、法律手続きは品物を購入するのとはことなり、購入したサービスが目に見えません。事前に費用の全体が見えないのは不安にもなりますので、費用の説明がなかった場合、その場で契約をしないようにしましょう。
多くの弁護士や司法書士は、事務所のホームページや、そのサービスの専用サイトなどに費用を記載しています。
事前に費用感を把握しておきたい場合は、インターネットで調べてみると良いでしょう。
まとめ
ここまで、国が認めた借金救済制度についてご紹介してきました。
国が認めた借金救済制度とは、債務整理のことを言い、特に任意整理を指すことが一般的で、国が特別支援を行っているということではありません。
債務整理は任意整理のほか、個人再生や自己破産もあります。再生や破産は国の制度ですし、任意整理も法律にのっとって行われることから、この「国が認めた」という表現が広告で使われるようになりました。
しかし、2025年2月20日に日本弁護士連合会が「業務広告に関する指針」を改正し、業務広告で禁止される表現を明確にしました。「国が認めた借金救済制度」という表現は、誇大広告にあたると明記され、借金減額診断などについても、診断結果の内容やページ内の記載事項によっては禁止事項にあたることが書かれています。
今借金の返済に悩んでいる人は、これらにも注意しながら、どこに相談すると良いか選ぶ必要があります。
債務整理の主な種類としては、利息カットと月々の返済額を軽減する「任意整理」、借金を5分の1まで圧縮する「個人再生」、借金の返済義務が免除される「自己破産」の3つがあります。それぞれ、手続きの特徴や費用が異なります。
債務整理は生活に大きな影響を与えるため、信頼できる専門家に依頼することが重要です。誇大広告をしていない、依頼前に直接面談を行う、事前に費用の説明をきちんとするなどの点に注意して、専門家を選ぶことをおすすめします。